溝鼠ー222端から話にならないと [現代小説ー灯篭花ほおずき)]

勝子が困り顔をでいる。
「佳代子の気持ちも考えずに、自分で勝手に決めといて、そうならなかったからって、頭にきたなんって、そんなのナンセンスでしょ。そう思わない」
そういって光子が、鼻で笑った。
「はっきりと、佳代子に、お前にこの家を継いで欲しいといったの」
道子も、少し苛立ちながら勝子に訊いた
「特に何も・・・」
「それじゃ何もいうことないしょ。逆に佳代子が可哀想でしょ」
光子も口を尖らせながら勝子にいった。
「お父さんは、正式に、佳代子に、この家の後を継ぐのはお前だといっていないのね」
道子が念を押した。
「詳しいことは分かんないよ。なんか、そこらへんが有耶無耶なんだよね」
「お父さんが、はっきりといわなから、こういうことなんるだよ。佳代子は、何も悪くない。そうでしょ。お母さん」
光子がいった。
「うん、そう思うだけどね。ただ、二人だけで何か話し合ったのかもしれないしょ・・・」
「それは、確証がないんでしょ・・・」
「ないけどさ、いつも、ここで佳代子が居る時に、お父さんは酒を飲みながら佳代子にお前がこの家を継ぐんだといっていたから・・・」
「いつも、酔っぱらっていってたんでしょ」
道子がいった。
「そんな話は、無効でしょ」
光子は、端から話にならないといった様子だ。
「お父さん、その時、本気だったと思うよ。酒だってそんなに飲んでいなかったし」
道男を庇うかの様にいった。
「その時、佳代子、何んっていたのさ」
光子が勝子に尻を向けて持ってきたトートバックの中から菓子折りらしきものを取り出した。
「わかりましたって」
「そういったの・・・」
光子が菓子折りらしきもの持ったまま勝子の顔をじっと見詰めている。
「佳代子、スナックに勤めていたんでしょ。日頃、酔ったお客さんの扱い方に慣れているから、それと同じように適当に返事をしたじゃないの。それを本気にしちゃってさ」
道子がいった。
「馬鹿みたい」
光子が笑いながら聴いてられないといった顔をして菓子折りらしきものをテーブルの上に置きながら
「すべて、お父さんの得手勝手なんだわ」
と光子がいった。

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。