亡魂ー37既に過去に起きた出来事

暫しの間、ぼうっとしながら、見るとはなしに外を走る車を眺めていた。これは、そう簡単には、事は進まない。じっくりと腰を据えて、初めから考え直さなければならないと思った。それには、国井芳次郎に、もう少し詳細に話を聞かなければならない。
まず、国井芳次郎に、知っている事をすべて話してもらうことだと思った。既に過去に起きた出来事だ。警察の現場検証も終わり事件は、終結している。それを蒸し返すようで、気が引ける。
縁もゆかりもない人間が、根掘り葉掘りと過去の出来事を掘り起こす。果たして、これまでのことを、話してくれるだろうか、
久米島は、思った。
(それにしても、俺は、国井芳次郎に他人の家庭について、あれこれと訊く権利があるのだろうか。
何もないのだ。ただ、辛うじて、根拠といえるかどうか分からないが、霊媒師の長谷川ヨネが霊を下ろした時の、その様子だけである。根拠が不確かである。)
国井芳次郎には、長谷川ヨネのあの恨みというか憎悪に満ちた顔や表情を説明し、納得してもらわなければならない。否、納得させなければならない。そう思った。
それにしても、最初から、上条恒子の話を持ち出しては拙いだろう。そう思った。
好きなことは、何か。確か支局長が最初に国井の家を訪れたとき、国井は釣り竿の手入れをしていたといっていた。

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