亡魂ー38 寄る年波には、勝てません

「お元気ですか・・・」
ヨネが頷いた。
「最近は、体が思うように動かなくて、それで、こうやって、炬燵に入っております」
幸一は、持参した菓子折をヨネの前に出すと、恐縮したのか、こたつの上に敷いた天板に、頭を付けそうにしながら下げた。
そして合掌した。
「そんな、大したものじゃありませんから」幸一が声を出して笑った。
「この齢になって、人さまから物を貰うって何年振りかです」
「でも、元気そうで何よりです」
そこへ、女が茶を運んできた。
「やはり、寄る年波には、勝てませんね。だんだんと、耳も遠くなり、体は固くなり、歩くのが困難になりました
「病院へは・・・」
「ええ、通っていますが、だんだんと食が細り、それで体が弱り動作も以前より緩慢になりました。食べさせようと思うのですが、口に運びませんの」女は、そういって、ヨネの方をちらっと見た。
ヨネは、眠たいのか目を細め、うつらうつらしている。まるで、今にも寝入りそうだ。
「ヨネさん、ヨネさん」幸一が大きな声で話し掛けた。
ヨネが、目を開けた。
「実は、今日伺ったのは、この間、浄霊してもらったときに、ヨネさんの体に、普段と違う表情が出ていたものですから、そのことについて、訊きたくて伺いました」
ヨネが、頷いた。

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