亡魂ー30 視界不良による

「去る二月二六日午後三時頃、歌見川町から元川市に入る仏坂峠で崖下に、車が転落炎上し運転手のほか同乗していた二人が死亡
事故現場からは、車の残骸と三人の焼死体が発見された。原因は、猛吹雪で視界不良による運転ミスか、現在、調査中」と記載されていた。
久米島は、首を傾げながら、
「調査中か・・・」と久米島は呟いた。
午後の4時半ごろ、取材に出掛けた支局長が歌見川町から戻ってきた。
幸一は、久米島の顔をみるなり
「スクラップがあったかい・・・」と声を掛けた。
原稿を書いていた久米島が、目の前に置いてあるスクラップブックを手に取り幸一に渡した。
「おお、あったかい」
幸一は、よほど嬉しかったのか、微笑みを湛えながら、スクラップブックを受け取り、スクラップブックに挟んである付箋の個所を開いた。
幸一が、新聞の切り抜きに目を通していたが、読み終わると
「久米島君、この時点では、原因がはっきりしていないんだね」
「そうですね・・・」
「調査中となっているよね。その後、どうなったのだろうか・・・それに自動車って、そんなに簡単に炎上するものかね・・・」
久米島が首を傾げた。
「良くわかりませんが・・・」
「調査後については、その後の新聞に載っていないのかい」
「いや、そこまで調べていません。調べてみますか」
「うん、そうだね」
乗りかかった船だ。調べてみようと久米島は思った。

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