亡魂ー39 供養してあげたら

「浄霊している時、ヨネさんは、少し前屈みになり、拳を強く握り占め、体が小刻みに震わせておりました。そして、顔には、苦悶の表情を浮かべ、何か悔しいという顔をしておりました。ご存じですか」
ヨネが、幸一を真っ直ぐにみて、静かに首を横に振った。
「ご存じない・・・そうですか」
ヨネが口を開いた。
「恐らく、生前、仏は、何か非常に悔しいことがあって、それが、あの世に行っても、未だ整理がつかないで苦しんでいるのでしょう。供養をしてやることです」
「供養してあげたら、収まるでしょうか」
「毎日、供養してやることです」
「それで、仏の悔しさは、収まるのでしょうか」
「毎日、忘れずに、心を込めて、水、御仏飯を供えることです」
「それで、解決するのでしょうか」
「ある程度は・・・」
「原因を突き止める必要が、あるのではないでしょうか」
ヨネが、首を横に振った。
「それは、難しい」
「そうですか。何とか霊から聞きだすことは、出来ないのでしょうか」
長谷川ヨネは、首を何度も横に振りながら、無理だといった。

幸一は、これ以上、ヨネさんに問いただしても無理だと思った。
「いや、お手数をお掛けして申し訳ありません。大変、参考になりました」
そういって、幸一は、ヨネの家を後にした。
帰って来る途中、バイクに乗りながら考えた。国井芳次郎に、仏の生涯について訊いてみる必要があるだろうと。

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