亡魂ー17表札を見ると

幸一が上元川町から戻ったのは、太陽が沈み始めた頃だった。早速、久米島は、木島透氏との話を報告した。
「住所が分かったので、まず行ってみるか」
幸一は、朝方と違って、少し明るい表情になった。
久米島が頷いた。
「僕も一緒に行きましょうか。久し振りに友達にも会いたいので」
幸一は頷いた。
「それじゃ、早速、明日にでも行ってみよう」
翌日、幸一は、バイクで行き、久米島は、バスで行くことにした。所要時間は16分ほどで行く。先に久米島が行き、上元川町の警察署で待ち合わせることにした。
幸一が到着したのは、10時半ごろだった。
警察で住所を聞いて二人は、タクシーで出掛けた。
炭住街である。同じ平屋で棟続きの住宅がずらっと並んでいる。
住所を書いた紙を頼りに歩いた。どこが目的の場所か迷う。
家屋番号を頼りに探した。

それらしき家をやっと見つけた。
玄関前に立って、表札を見ると長谷川重蔵となっている。
軒下からてるてる坊主が一個ぶら下がっている。硬式野球ボールほどの大きさで、それが雨風に晒され目や鼻が消えかかり、全体が茶色に変色している。相当以前からぶら下がっているようだ。それに、てるてる坊主の頭の下が切れ掛かっている。

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