亡魂ー5 何か音が

改築工事は、順調に進み3か月ほどで、ほとんどが仕上がった。
建物は、正面の玄関を挟んで左側に事務所があり、右側は、台所になっていた。
一間四方の玄関に入ると、上がり框があり、その上に引き違い戸が入っていた。それを開けると、六畳間があり、そのまた奥も六畳間となっていた。
事務所は、四畳半ほどある。そこへ、事務机を二台置き、それに電話が一本引いてあった。事務所と居間は、ガラスの入った引き違い戸で仕切られ、自由に行き来ができるようになっていた。
便所は、居間を通って、次の六畳間の左側に狭い廊下があり、その突き当たりにあった。
台所からは、国道が目の前に見え、その向こう側には、商店が見えた。
建物の左側には、窓が多く、明かりが十分に取れるようになっていた。
幸三と澄子の二人の子供たちは、間借り生活だと何かと不便なことが多く飽きたのか、早く新居へ移りたいと言い出し、とうとう、二人の子供にせがまれて、ある日、泊まることにした。
妻のキネは、出来上がってから、引っ越しすることにした。
それで、幸一と子供二人が泊まることになった。
二日目のことだった。幸一も子供の二人も眠りに入ったころだった。
何か物音がした。
幸一が、「はっ」と気が付き目を開けた。なにも聴こえない。
玄関先が道路沿いにあり、車の往来する音だろうと思った。ところが、澄子が目を覚まし、幸一を揺すり「何か、音がする」という。
「気のせいだと」と一旦子供をなだめたが、どうも幸一も気になった。
幸一は、暫く寝付けなかったが、明け方になって少し眠った。

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