溝鼠ー238笑顔が消えた [現代小説ー灯篭花(ほおずき)]

諏訪が部屋から出て行った。
少しして先ほどの看護師が戻ってきた。
「部屋の用意ができましたので、どうぞ、あちらへ」
廊下に出て右に曲がり、そのまま真っ直ぐ行って、突き当たった左側に、その部屋があった。
六畳ほどの部屋だが、古い蛍光灯が一本ついていた。その蛍光灯が古いせいか部屋の中が仄暗かった。二人が待っていると諏訪が現れた。
「いや、どうも・・・」
諏訪が椅子に腰を下ろした。
「先生は、弟が、こちらへ、運ばれたとき、すぐに分かりましたか」
諏訪が笑いながら
「いや、最初は、気が付きませんでした、カルテを見て気が付きました」、
「親子ですものね」
杏子が横からいった。
諏訪の顔から笑顔が消えた。ぷいと顔を横に向け、机の上の書類を一瞥した後、斜めになっていた書類らしきものを立て直した。
「親子といっても、私は父親の顔を知らないですから。赤ん坊で」
諏訪の態度は、すぐに先ほどの態度に戻り笑顔になった。
「親子の名乗りは・・・」
「していません。私は、諏訪家のものですから」
そっけなかった。
「そうですか、弟の家内は、知っているのでしょうか」
「さあ~、わかりません」
「何も言っていませんでしたか」
「特に何も・・・」
「知らないのかな・・・」
定男が杏子のほうを見ていった。

nice!(0)  コメント(0) 

どぶねずみ

諏訪が部屋から出て行った。
少しして先ほどの看護師が戻ってきた。
「部屋の用意ができましたので、どうぞ、あちらへ」
廊下に出て右に曲がり、そのまま真っ直ぐ行って、突き当たった左側に、その部屋があった。
六畳ほどの部屋だが、古い蛍光灯が一本ついていた。その蛍光灯が古いせいか部屋の中が仄暗かった。二人が待っていると諏訪が現れた。
「いや、どうも・・・」
諏訪が椅子に腰を下ろした。
「先生は、弟が、こちらへ、運ばれたとき、すぐに分かりましたか」
諏訪が笑いながら
「いや、最初は、気が付きませんでした、カルテを見て気が付きました」、
「親子ですものね」
杏子が横からいった。
諏訪の顔から笑顔が消えた。ぷいと顔を横に向け、机の上の書類を一瞥した後、斜めになっていた書類らしきものを立て直した。
「親子といっても、私は父親の顔を知らないですから。赤ん坊で」
諏訪の態度は、すぐに先ほどの態度に戻り笑顔になった。
「親子の名乗りは・・・」
「していません。私は、諏訪家のものですから」
そっけなかった。
「そうですか、弟の家内は、知っているのでしょうか」
「さあ~、わかりません」
「何も言っていませんでしたか」
「特に何も・・・」
「知らないのかな・・・」
定男が杏子のほうを見ていった。

nice!(0)  コメント(0) 

どぶねずみ [現代小説ー灯篭花(ほおずき)]

諏訪が部屋から出て行った。
少しして先ほどの看護師が戻ってきた。
「部屋の用意ができましたので、どうぞ、あちらへ」
廊下に出て右に曲がり、そのまま真っ直ぐ行って、突き当たった左側に、その部屋があった。
六畳ほどの部屋だが、古い蛍光灯が一本ついていた。その蛍光灯が古いせいか部屋の中が仄暗かった。二人が待っていると諏訪が現れた。
「いや、どうも・・・」
諏訪が椅子に腰を下ろした。
「先生は、弟が、こちらへ、運ばれたとき、すぐに分かりましたか」
諏訪が笑いながら
「いや、最初は、気が付きませんでした、カルテを見て気が付きました」、
「親子ですものね」
杏子が横からいった。
諏訪の顔から笑顔が消えた。ぷいと顔を横に向け、机の上の書類を一瞥した後、斜めになっていた書類らしきものを立て直した。
「親子といっても、私は父親の顔を知らないですから。赤ん坊で」
諏訪の態度は、すぐに先ほどの態度に戻り笑顔になった。
「親子の名乗りは・・・」
「していません。私は、諏訪家のものですから」
そっけなかった。
「そうですか、弟の家内は、知っているのでしょうか」
「さあ~、わかりません」
「何も言っていませんでしたか」
「特に何も・・・」
「知らないのかな・・・」
定男が杏子のほうを見ていった。

nice!(0)  コメント(0) 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。